物流倉庫のラック(棚)の種類と選び方!レイアウト設計のポイントも解説

「在庫が増えて倉庫が手狭になってきた」「ピッキング作業に時間がかかりすぎている」EC事業者様や物流担当者様なら、一度はこうした悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。

物流倉庫において、保管効率と作業生産性を決定づける最大の要因は「ラック(棚)の選定」と「レイアウト設計」にあります。商品に合わないラックを使用したり、動線を無視した配置を行ったりすることは、無駄なスペースを生むだけでなく、作業スタッフの疲労や誤出荷のリスクを高める原因となります。

本記事では、物流倉庫で使われる主要なラックの種類と特徴、そしてコスト削減と効率化を実現するための選び方とレイアウトのポイントを徹底解説します。最適な保管環境を整え、物流品質を一段階引き上げましょう。

物流倉庫で活躍する4つの主要ラックと特徴

物流倉庫で使用されるラックには多種多様なものがありますが、保管する商品の「荷姿(パレットかバラか)」「重量」「出庫頻度」によって最適な種類は異なります。ここでは、多くの倉庫で導入されている代表的な4つのラックについて解説します。

まずは、各ラックの特徴を一覧表で確認しましょう。

ラックの種類 主な保管対象 特徴
パレットラック
(重量ラック)
パレット単位の重量物 堅牢で高さを活かせる。フォークリフト必須。
ネステナー
(移動可能ラック)
パレット単位の重量物 レイアウト変更が自由。未使用時は畳める。
中量・軽量ラック 段ボール、ピース(バラ) 手作業でのピッキング向け。棚板調整が容易。
移動ラック 多量在庫(パレット/バラ) 通路を削減し収納効率を最大化。導入コスト高。

パレットラック:高さを活かした重量物保管の定番

パレットラックとは、パレットに積載された荷物をそのまま保管するために設計された、最も一般的な固定式ラックです。「重量ラック」とも呼ばれ、1段あたりの耐荷重は500kgから数トンに及びます。

最大の特徴は、「倉庫の高さ(空間)」を最大限に有効活用できる点です。3段、4段と高層に積み上げることで、限られた床面積でも大量の保管が可能になります。ビーム(横材)の高さを調整できるタイプが主流で、荷物の高さに合わせて柔軟に変更可能です。

運用にはフォークリフトが不可欠ですが、各パレットへ直接アクセスできるため、先入れ先出し(FIFO)が容易で、在庫管理がしやすいというメリットがあります。多品種多量のパレット保管を行う物流センターの基本となる設備です。

ネステナー:レイアウト変更自在な移動式ラック

ネステナーは、スチール製の枠組みで作られた移動可能なラックです。床にアンカー固定する必要がないため、フォークリフトを使って自由に配置を変えることができます。

ネステナーには以下のユニークなメリットがあります。

  • 柔軟性: 繁忙期には積み重ねて(スタッキング)収納力を増やし、閑散期にはラック自体を入れ子状(ネスティング)に重ねてコンパクトに収納できます。
  • 直置き活用(逆ネステナー): ラックを逆さま(天地逆)にして使用する「逆ネステナー」という手法があります。これにより、最下段には床に直置きしたパレットを、その上のラック部分にもう1枚パレットを置くことができ、ラックの台数を減らしつつ2段積みが可能になります。

季節波動が激しいEC倉庫や、柔軟な運用が求められる現場で非常に重宝されます。

中軽量ラック:バラピッキングに最適な手作業用棚

中量ラック・軽量ラックは、主に段ボール箱やピース単位(バラ)の荷物を手作業でピッキング・保管するための棚です。

  • 軽量ラック: 1段あたりの耐荷重が〜150kg程度。オフィス用品や軽量部品向け。
  • 中量ラック: 1段あたりの耐荷重が300kg〜500kg程度。金型や重い機械部品、飲料ケースなども保管可能。

これらのラックは、EC物流において非常に重要です。棚板の高さ(ピッチ)を数センチ単位で調整できるボルトレスタイプが多く、商品のサイズに合わせて無駄なく収納スペースを作れます。また、オプションの仕切り板や落下防止バー、プラスチックコンテナを組み合わせることで、細かい雑貨やアパレル商品も効率よく管理できます。

移動ラック:通路を削減し収納効率を最大化

移動ラックとは、ラックの土台にレールや車輪が付いており、棚自体を水平移動させることができるシステムです。

通常の固定棚では棚と棚の間に必ず「通路」が必要ですが、移動ラックは作業する箇所の通路だけを開ける仕組みです。これにより、通路スペースを削減し、同じ面積で保管キャパシティを1.5倍〜2倍近くまで増やすことが可能です。

  • 電動式: パレットラック自体を電動で動かします。冷凍倉庫や、土地単価が高く保管効率を極限まで高めたい倉庫で採用されます。
  • 手動式(ハンドル式): 書類保管や軽量部品の保管庫でよく見られます。軽い力でハンドルを回して棚を移動させます。

導入コストは高くなりますが、スペース効率におけるメリットは絶大です。

物流効率を左右する!ラックレイアウトが重要な3つの理由

最適なラックを選んでも、それを「どう配置するか」というレイアウト設計を誤れば、宝の持ち腐れとなってしまいます。レイアウトは、物流現場の生産性(KPI)に直結する重要な戦略です。

動線設計で作業時間を大幅に短縮する

レイアウト設計において最も重視すべきは、「動線(作業員の移動距離)」の短縮です。ピッキング作業において、移動時間は作業時間全体の半分以上を占めることも珍しくありません。

効率的なレイアウトの例として、以下のような工夫が挙げられます。

  • ABC分析に基づく配置: 出荷頻度の高い「Aランク商品」を出荷口の近くや、取り出しやすい高さ(ゴールデンゾーン)に集約する。
  • 一方通行の動線: 通路内でのすれ違いや渋滞を防ぐため、ピッキング動線を一方通行にする。
  • U字型動線 vs I字型動線: 入荷から出荷までの流れを、倉庫の形状に合わせてスムーズに流れるように設計する。

「迷わない、歩かない、探さない」レイアウトを作ることで、リードタイムを大幅に短縮できます。

スペース最適化で保管コストを削減する

倉庫の賃料は固定費の大きな割合を占めます。効果的なレイアウト設計は、空間利用率(充填率)を高め、保管コストの削減に直接寄与します。

例えば、天井が高い倉庫であれば、高層ラックを採用して「縦の空間」を活用することで、坪あたりの保管効率を向上させることができます。また、通路幅(マテハン機器が通れる最小限の幅)を適切に設計することで、デッドスペースを排除できます。

同じ賃料でより多くの荷物を保管できれば、商品1個あたりの保管単価は下がります。また、作業効率が向上すれば人件費の抑制にもつながるため、レイアウトの見直しはコスト削減の特効薬と言えます。

整理整頓でミス防止と安全性を確保する

レイアウトは、作業のスピードだけでなく、「安全性」と「品質」を守るためにも重要です。

無理な詰め込みによる狭すぎる通路や、死角の多い配置は、フォークリフトの接触事故や商品破損のリスクを高めます。また、ロケーション(番地)が規則正しく並んでいない複雑なレイアウトは、ピッキングミス(誤出荷)の温床となります。

「どこに何があるか」が一目でわかり、十分な作業スペースが確保されたレイアウトは、作業員の心理的ストレスを減らし、結果としてミスや事故の少ない安全な現場を実現します。整理整頓された倉庫は、物流品質の証でもあります。

失敗しない!物流倉庫のラック選び4つのチェックポイント

実際にラックを導入する際、カタログのスペックだけで決めてしまうのは危険です。自社の運用ルールや将来の事業計画と照らし合わせ、以下の4つのポイントを確認しましょう。

サイズ:保管物と倉庫の「実効寸法」を確認

ラックのサイズ選定には、「保管する荷物のサイズ」と「倉庫建物の制約」の両面からのアプローチが必要です。

  • 荷物に対する余裕: パレットや段ボールのサイズに対し、左右・前後に適切なクリアランス(余裕)を持たせる必要があります。余裕がなさすぎると、出し入れの際に商品を傷つける原因になります。
  • 倉庫の有効高さ: 天井の高さだけでなく、照明、スプリンクラー、梁(はり)などの障害物を考慮した「有効高さ」を確認します。特にラック上部の荷物が消防法上の散水障害にならないよう配慮が必要です。
  • 通路幅: 使用するフォークリフトの回転半径に合わせた通路幅(アイル幅)を確保できるサイズのラックを選びます。

耐荷重:安全運用に不可欠な「余裕」を持つ

耐荷重は、安全管理上絶対に守らなければならない数値です。確認すべき耐荷重には2種類あります。

  1. 棚板1段あたりの耐荷重: カタログ値は通常「等分布荷重(均等に載せた場合)」です。偏荷重になると強度が落ちるため、想定重量に対して20〜30%程度の余裕を持たせたスペックを選びましょう。
  2. ラック1連あたりの総耐荷重: 多段積みする場合、ラック全体の重量を支える支柱の強度が重要です。

また、ラックだけでなく、「倉庫の床耐荷重」も確認が必要です。ラックの脚(ベースプレート)に集中する荷重に床が耐えられない場合、床が沈下しラックが倒壊する恐れがあります。

天地段数:デッドスペースをなくす設定にする

天地段数(棚の段数)をどう設定するかで、収納量は大きく変わります。

例えば、商品の高さが低いのに段間隔を広く取りすぎると、上部に無駄な空間(デッドスペース)が生まれます。逆に、段数を増やしすぎて商品上部の隙間がなくなると、フォークリフトでのリフトアップ操作ができなくなります(通常、リフトアップ用に15〜20cm程度の隙間が必要です)。

商品サイズが頻繁に変わる可能性がある場合は、ボルトレスで簡単に段変更ができるタイプや、25mm/50mmピッチで細かく調整できるラックを選んでおくと安心です。

可変性:将来のレイアウト変更を見越して選ぶ

ビジネスの成長フェーズや取り扱い商材によって、レイアウト変更の頻度は異なります。

例えば、季節ごとの波動が大きいアパレルやギフト商材の場合、床にアンカー固定するパレットラックですべてを埋めてしまうと、急な物量増加や作業スペースの確保に対応できません。こうしたケースでは、ネステナーを導入してレイアウトの可変性を確保するのが賢明です。

逆に、定番商品が固定化しているメーカー倉庫などでは、固定ラックや移動ラックで高密度保管を目指すのが正解です。「今の最適」だけでなく、「3年後の運用」をイメージして、固定設備と可動設備のバランスを検討しましょう。

まとめ

物流倉庫におけるラックの選定とレイアウト設計は、物流効率、コスト、そして品質を左右する非常に重要な要素です。

  • 種類: パレットラック、ネステナー、中軽量ラックなど、荷姿と運用に合わせて選ぶ。
  • レイアウト: 動線短縮、保管効率向上、安全性確保の3点を意識する。
  • 選び方: サイズ、耐荷重、段数、可変性を総合的に判断する。

しかし、最適なラックを選定し、効率的なレイアウトを自社だけで設計・運用するには、高度な専門知識と経験が必要です。「自社の倉庫運用が最適かどうかわからない」「波動に合わせて柔軟に倉庫スペースを拡張したい」といったお悩みをお持ちの方も多いでしょう。

そのような場合は、クラウド物流アウトソーシング「NEOlogi」の活用をご検討ください。NEOlogiなら、商材や規模に合わせた最適な物流環境を即座に提供可能です。ラックの選定やレイアウトに悩むことなく、物流業務全体をプロに任せることで、お客様はコア業務である商品開発や販促活動に専念していただけます。

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株式会社ネオ・ウィング
 
黛 将広

株式会社ネオ・ウィング 取締役 / 物流代行サービス「NEOlogi」 責任者

物流業務の効率化・業務改善及び、ECに関する一連業務のDX支援など、EC運営経験およびNEOlogiで培ったシステム開発力でお客様の課題を解決します。

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