物流施設の種類と選び方!マルチテナント型とBTS型の違い

EC事業の拡大やサプライチェーンの複雑化に伴い、企業にとって物流施設の選定は事業成長を左右する重要な経営課題となっています。

単なる「倉庫」の役割を越え、高度なオペレーションを支える拠点として物流施設の重要性は増すばかりです。

本記事では、物流施設の種類や、代表的なマルチテナント型物流施設とBTS型物流施設の違い、そして自社に最適な物流施設の選び方についてわかりやすく解説します。

現代の物流施設に求められる機能と役割

現代の物流施設は、かつての「物を置いておく場所」という概念から大きく変貌を遂げました。

ここでは、最新の物流施設に求められている中核的な機能と、企業戦略における役割の変化について解説します。

単なる保管場所から高機能な配送センターへの進化

従来の倉庫は長期間の「保管」が主な目的でした。

しかし、EC(ネット通販)の普及や消費者ニーズの多様化により、現在の物流施設には「スピーディな仕分け・流通加工・出荷」を行う高機能な配送センター(DCやTC)としての役割が求められています。

大量の在庫を効率的に管理し、即日配送や翌日配送を実現するためには、自動化設備(マテハン機器)の導入を前提とした広い庫内スペースや、スムーズなトラックの接車を可能にする広いトラックバースが不可欠です。

物流施設は今や、企業の販売・マーケティング戦略を直接的に支える最前線のオペレーション拠点となっているのです。

BCP対策や環境配慮が企業価値を左右する時代

昨今、自然災害のリスクが高まる中で、BCP(事業継続計画)対策は物流施設選びの必須条件となっています。

免震・制震構造の採用や、停電時に備えた非常用発電機、水害対策としての設備の上層階配置など、有事でもサプライチェーンを寸断させない強靭(レジリエント)な施設が求められます。

また、SDGsへの意識の高まりから、環境への配慮(ESG対応)も重要です。屋上の太陽光発電パネルによる再生可能エネルギーの活用や、全館LED照明の導入など、環境負荷を低減するグリーンな物流施設を選ぶことは、企業の社会的責任(CSR)を果たすだけでなく、中長期的な企業価値の向上にも直結します。

物流施設の主な種類と特徴の比較

物流施設を検討する際、自社の事業規模や商材の特性に応じて最適なタイプを選ぶ必要があります。

ここでは、物流施設の代表的な種類と、それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較・解説します。

汎用性が高くテナントが共同利用するマルチテナント型

マルチテナント型物流施設とは、複数の企業(テナント)が同じ建物を分割して借りる賃貸型の大型物流施設のことです。

  • 【メリット】: 最大の魅力は、最新の物流設備があらかじめ備わっている点です。
    また、汎用性の高い設計になっており、必要な坪数(スペース)だけを借りることができるため、事業の成長に合わせて柔軟にスペースを拡張・縮小しやすいという利点があります。
  • 【デメリット】: 汎用的な設計であるため、極端に重い商材(高床荷重が必要なもの)や、特殊な温度帯(厳密な冷凍・冷蔵など)には対応しきれない場合があります。

特定企業のニーズに合わせて設計・開発されるBTS型

BTS型物流施設(Build To Suit型)とは、特定のテナントの要望(オーダーメイド)に合わせて設計・建設され、その企業が1棟全体を専用で借り上げるタイプの賃貸用物流施設です。

  • 【メリット】: 自社のオペレーションに完全に最適化された施設を構築できるのが最大の特徴です。
    特殊な保管条件(危険物、定温・冷蔵・冷凍)、大規模な自動倉庫システムの導入、独自のトラック動線など、マルチテナント型では難しい専門的なニーズを満たすことができます。
  • 【デメリット】: オーダーメイドで建設するため、計画から入居までに長いリードタイム(期間)がかかります。
    また、原則として長期の賃貸借契約(10年〜15年以上など)が求められるため、将来の事業環境の変化に対する柔軟性は低くなります。

地権者が建てた建物を借りる賃貸型と自社建設型

マルチテナント型やBTS型は主に不動産デベロッパーが開発する「賃貸型」に分類されますが、物流施設には大きく分けて「賃貸型」と「自社建設型(自社所有)」があります。

賃貸型は初期投資を大幅に抑えられ、バランスシートを軽く保つ(オフバランス化)ことが可能です。

対して自社建設型は、土地の取得から莫大な初期費用がかかりますが、長期的に同一拠点で安定稼働する場合にランニングコストを抑えられます。

近年は、初期投資の負担を減らし、変化の激しいビジネス環境に柔軟に対応できる賃貸型を活用する企業が主流となっています。

【比較表】マルチテナント型とBTS型の違い

比較項目マルチテナント型物流施設BTS型物流施設(Build To Suit)
対象複数企業(テナント)での共同利用特定企業による1棟(または専用区画)の専有
仕様の自由度低い(汎用的な標準仕様)高い(完全オーダーメイド設計が可能)
契約の柔軟性高い(必要面積のみ、比較的短期も可能)低い(原則として長期の賃貸借契約が必要)
入居までの期間短い(空きがあれば即入居可能)長い(設計・建設から行うため年単位)
向いている企業事業変動が大きく、柔軟な拠点戦略を求める企業特殊な設備が必要で、長期安定稼働を見込む企業

進化する最新物流施設のトレンド

開発が続く大型の先進的物流施設は、テクノロジーの進化と社会課題の解決に向けて日々アップデートされています。

ここでは、最新の物流施設に見られる3つの大きなトレンドをご紹介します。

免震構造や非常用電源などBCP対応機能の強化

近年開発される最新の物流施設では、高度なBCP(事業継続計画)対応が標準装備化されつつあります。

地震の揺れを吸収する「免震構造」や「制震構造」を採用し、保管している商品や自動化設備の倒壊・破損を防ぎます。

また、広域停電時に備えた「72時間対応の非常用自家発電設備」や、地下水供給システム、防災備蓄倉庫の設置など、災害時でも物流を止めないための機能が徹底して強化されています。

これにより、荷主企業はどのような状況下でも安心して在庫を預けることが可能になります。

カフェテリアや託児所など従業員アメニティの充実

深刻な人手不足が続く物流業界において、「働きやすい環境づくり」は人材確保のための最重要課題です。

最新のマルチテナント型物流施設では、単なる休憩スペースを超えたアメニティが提供されています。

眺望の良いおしゃれなカフェテリア(食堂)、Wi-Fi完備のラウンジ、コンビニエンスストア、シャワールームなどが完備されています。

さらに、子育て世代の就労を支援する「施設内託児所」を設ける物件も増加しています。

庫内全体に空調設備(空調機や大型シーリングファン)を導入し、猛暑や厳冬でも快適に作業できる環境を整えることは、安定した人員確保と生産性向上に直結します。

ランプウェイによる各階直接乗り入れと大型化

大規模なマルチテナント型物流施設に顕著なトレンドが、ランプウェイ(車路)の設置による各階へのトラック直接乗り入れです。

従来の多層階倉庫では、1階の荷捌き場から貨物用エレベーター(垂直搬送機)で各階へ荷物を運ぶ必要があり、深刻なボトルネック(待機時間の発生)となっていました。

ランプウェイ(上り下り専用のらせん状の車道)があれば、トラックが直接2階以上のトラックバースに接車できるため、各階が実質的に「1階の平屋」と同じように機能します。

これにより、荷役作業の効率が劇的に向上し、スピーディな入出荷オペレーションが実現します。

自社に合った物流施設を選ぶためのチェックリスト

数ある物流施設の中から、自社のビジネスに最適な拠点を見つけるためには、多角的な視点での検証が必要です。

ここでは、施設選びで失敗しないための3つの重要なチェックポイントを解説します。

高速道路のICからの距離と雇用確保のしやすさを確認する

物流施設の「立地」は、輸配送コストとオペレーションの安定性を決定づける最重要項目です。

第一に、高速道路のインターチェンジ(IC)や主要幹線道路からのアクセスの良さを確認しましょう。

広域配送を行う場合、ICからの距離が近いほどリードタイムが短縮され、日々の運送費用の削減に繋がります。

第二に、従業員の雇用確保のしやすさです。

周辺の人口動態や、最寄り駅からのアクセス(徒歩圏内か、専用送迎バスがあるか)を必ず調査します。

どんなに立派な最新施設でも、働く人が集まらなければ物流センターは機能しません。

床荷重や天井高などのスペックが商材に適しているか確認する

自社の取り扱う商材に対し、施設の物理的な基本スペック(仕様)が適合しているかの確認は不可欠です。

主に以下の3点を確認しましょう。

  • 床荷重(耐荷重): 1平方メートルあたり何トンの重さに耐えられるか。飲料や金属部品など重量物を扱う場合は、1.5t/㎡以上の高床荷重が必要です。
  • 有効天井高: 床から天井(梁下)までの高さ。通常は5.5m程度が標準ですが、パレットを高く積む商材の場合はそれ以上の高さが求められます。
  • 柱スパン: 柱と柱の間隔。これが広いほど、ネステナー(保管ラック)の配置や、自動化マテハン機器のレイアウトの自由度が高まります。

将来的な拡張性や契約期間の柔軟性を確認する

ビジネス環境の変化が激しい現代において、今の時点での最適解が3年後、5年後も最適とは限りません。EC事業のように売上の急成長が見込まれるビジネスでは、将来的なスペースの拡張性(増床のしやすさ)を確認しておくことが重要です。

マルチテナント型物流施設であれば、同じ施設内で隣接する区画が空いたタイミングで柔軟に増床できるケースがあります。

また、中途解約の条件や契約期間の縛りなど、賃貸借契約の柔軟性もあわせてチェックし、事業リスクを最小限に抑える拠点戦略を立てましょう。

まとめ:自社拠点構築のハードルを下げるアウトソーシングという選択

物流施設には「マルチテナント型」や「BTS型」など様々な種類があり、ECの成長や自動化、BCP対策に対応すべく進化を続けています。

自社に最適な施設を選ぶには、立地やスペック、将来の柔軟性を総合的に判断することが不可欠です。

一方で、自社で条件に合う物流施設を賃貸し、人員を採用・管理して運用するには、多大な初期投資とマネジメント労力が必要となります。

もし、「物流拠点の構築・運用コストを抑えたい」「ECの急成長に合わせて物流をスケールさせたい」「越境ECに挑戦したい」とお考えなら、クラウド物流アウトソーシングの「NEOlogi(ネオロジ)」にお任せください。

最新の物流施設を利用した高度なオペレーションを、初期費用なし・従量課金制でスピーディに導入可能です。

国内はもちろん、海外150ヶ国以上への配送にも対応しています。

自社の貴重なリソースを商品開発やマーケティングといった「コア業務」に集中させるためにも、物流課題の解決はぜひ一度、NEOlogiへご相談ください。

プロフィール画像
株式会社ネオ・ウィング
NEOlogi営業担当
松浦 幸輝

NEOlogiの営業担当をしております。
NEOlogiは国内外世界150ヵ国以上に配送ができる、 EC事業者向けの配送代行サービスです。
物流部分にお悩みをお持ちでしたらお気軽にお問い合わせください。